猫が手をからだの下にたくしこんで座っているのを「香箱を組む」というらしい。
香箱を組んだ猫は落ち着いていて、リラックスしているようで、とてもいい。 私の住む場所は公道から少し入った突き当たりにあるのだけれど、この間から、その私道で猫をよく見かけるようになった。 仕事の帰り、暗がりになにかこんもりとまるっこいものがあるのでなんだろうと思ったらば猫だった。よく見れば思ったより小柄な雉トラの猫で、右耳の付け根あたりにちょっとハゲがある。この辺に暮らす猫たちは人見知りが激しくて、目と目が合うとものすごく緊張し、こちらが少しでも動こうものならビクビクッと及び腰になって一歩踏み出したとたんに文字通り脱兎のごとく逃げ出してしまう。でも、この猫は落ち着き払って座ったまま。そっと近づいて手を伸ばしたら、人の指先の匂いをちょっとだけ嗅いで、あとはなでられるままになっていた。かわいい。 不思議なのは、最初に2度見かけたときはどちらも雨上がりで、私道はむき出しの土の真ん中にコンクリートのタイルが2列敷かれているのだけれど、地面もタイルもじっとりと濡れていたはずなのに、猫は平気な顔でぺったりとそこに座り込んで香箱を組んでいたということ。暑いときならば冷たいところに寝そべるのはよくわかるんだけれど、濡れるのが大嫌いなはずの猫がそんなところに寝そべっているのは本当に不思議だった。 香箱を組む猫の視線は、となりの家と私道を区切るコンクリート塀、正確には塀の地面に近いところに規則的にあけられた穴に張り付いていた。よほど気になるものがいるに違いない。虫?ねずみ? 今日は地面は乾いていたけれど、やっぱりその猫は香箱を組んでそこにいた。 猫に口がきけたら、「なにしてるの?なにを待ってるの?」って聞けるのに。 通りすがりにちょっとかがみこんで、頭をなでなで。 猫は今日はなぜだかなでるたびに「ふわあぁ~!」と大きく口をあけて思いっきりあくびをしてた。
by bramble
| 2006-07-29 00:38
| 日常のひとこま
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